未経験者がとるべき経理職への転職戦略について解説します。
家族を持ちながら営業マンから経理マンへとキャリアチェンジして現職に満足することが出来ている経験も踏まえて「未経験」「経理」という切り口でお伝えします。
該当する方にはより鮮明にとるべき転職の戦略が見えてくると思います。
未経験者にとっての経理転職の状況
経理は専門性を持ってキャリアアップできる職種です。
会計・法律の知識やスキルは汎用的でありどこの会社で培ったものでもそれらが積み上げやすい職種と言えます。
自身の培ったスキルや経験で条件の良い会社へ移ることを目的に転職活動をしている人が沢山います。
経理未経験で転職に臨むにはこれらの転職環境を理解しておく必要があります。
それでは未経験者がどのような戦略で転職に臨んでいけば良いのかを見ていきましょう。
【戦略1】会社を辞めない
現職を辞めずに転職活動をするか、辞めてから転職活動をするのかは一般的に辞めない方がいい、と言われています。
しかしそれぞれメリット・デメリットがあり状況に応じて選択することがあります。
私は経理課長から経理部長へのキャリアップを図った転職では十分な時間を取って転職活動をするために転職先が決まる前に退職を決意しました。
会社を辞めて転職をするデメリットで考えなくてはならないことは以下の2つです。
- 収入が途絶えて経済的に苦境に陥るリスクが高いこと
- 無職期間が長引いた時のキャリアへの傷と社会人としての勘が鈍ること
未経験者が経理への転職を目指す時、この2つのダメージを受ける可能性がとても高いです。
ですから基本的には「会社を辞めずに転職活動をする」という一択が良いと考えています。
例外は以下の2つかと思います。
- 既に体力的若しくは精神的に体を壊すレベルである
- 会社が早期退職を募っている
ブラック企業での長時間労働で疲れ果てており、このままでは体を壊すことが目に見えている人は失業手当をもらいながら立て直しを考える方が良いでしょう。
また所属する会社の経営状態が悪化しており早期退職で退職金の割り増し等が提示されるようなケースでは家計悪化のリスクヘッジに貢献できるメリットがあるかもしれません。
ちなみに会社の経営状態が悪化していても割り増しの退職金等メリットが少ない場合には現職に踏みとどまるべきでしょう。
給料の遅配等がある場合は別ですが、「退職して無収入」と「不満ながら給料がもらえる状況」では雲泥の差があることを無職になると感じるのではないでしょうか。
失業手当はあてにする手もありますがそれは「不測の事態」の時の保険として取っておくべきです。
自分の意志でどうにかなるうちは「収入源の確保」は最優先事項です。
【戦略2】目標とする姿・将来像
経理を目指して経理の仕事について調べてイメージが沸いたあなたはどんな経理へのキャリアチェンジの目標を持ったでしょうか?
ただ経理の仕事を調べるといっても外から見聞きしただけでは限界もあります。
ガチガチのキャリアプランを作ってしまうと転職後に「私が思っている経理と違う!」っていきなりテンションが下がることにもなりかねません。
5年から10年後くらいのスパンで「こうなっていたい自分」を想像してみてはどうでしょうか?
年収に関しては「この仕事だから年収いくらもえるようになる」という明確な方程式はありません。
あるのは「この会社でこのポジションに就くにはこの程度のスキルが必要で年収はこの程度」ということです。
会社ごとに要求されるスキルは異なり年収も会社全体の給与水準に影響を受けます。
例えば上場企業の管理職が務まるスキルがあれば上場企業の管理職レベルの給料はもらえる、そういうことです。
経理のスキル別給与水準を考えるのではなく、どのポジションならどの程度の給与水準なのか?そのポジションにつくにはどのようなスキル・経験が必要なのかを考えるのが良いですね。
大手の求人サイトで経理・財務職で求人情報を調べてみると分かると思います。
【戦略3】現状のスキルで転職するか、スキルアップをしてから転職するか?
現在あなたが持っているスキルだけで転職するか、資格等を取得してから転職するか、ということになると思います。
私の意見は…
経理職の採用条件で「日商簿記2級」を挙げる案件はとても多いです。
経理の現場では簿記2級を一つのラインとしています。
未経験者の採用では過去の経験値がわからないので資格取得は大変大きな目安となります。
簿記2級を持っていなくても経理の仕事はできますが、未経験者が経理への転職を成功させるには簿記2級は必須アイテムでしょう。
でも日商簿記検定は毎日開催されていません。
ですから取得までは「次回の試験で2級取得予定です!」という姿勢で求職活動を始めてしまいます。
もし採用となれば、実際に就職して就職後に予定通り資格を取得すれば良いでしょう。
簿記2級のハードルを超えられず採用まで至らなくても資格取得後に転職活動本番になった時にはあなたには既に転職ノウハウの蓄積があることでしょう。
企業を選別する選球眼や転職エージェントとの接し方や提出書類の作成のコツが身についていれば簿記2級という資格とともに転職活動の成功度は一気に上がります。
なおキャリアの棚卸しでは経理への転職に有利な経験やスキルの洗い出し作業もすることになります。
総務とか人事とか資産管理とか管理部門の経験がある方なら一つの部門で経理と一緒に業務を行う会社に入り込むきっかけになるかもしれません。
現職の会社の経理部門への異動が可能なら別ですが未経験者にとって転職する以外に「経理の仕事をする経験」は得られません。
そう考えると簿記2級取得を当面の目標としてそれ以上の経験値アップは「経理の仕事に就いてから」とすると良いでしょう。
【戦略4】正社員・契約社員・派遣社員別に応募を考える
「経理の未経験者でもOK!」案件のほとんどは派遣社員か紹介予定派遣だと思います。
まず第一はこれらの案件をどう捉えるかです。
現在、派遣社員や契約社員の方なら重要な案件として捉えるべきでしょう。
といった仕事が相場でしょうか。
出産や育児等でブランクがあった方にも良いかもしれませんね。
この様な業務に就いてまずは契約社員化や正社員化を目指すのが良いでしょう。
紹介予定派遣ならその道はグッと近づくでしょう。
これに対して現在、正社員で働いている人はこの様な案件への転職はできれば避けたいですね。
やはり正社員として働ける状況は維持しながら求人を探すところから始めましょう。
求人の間口は狭まりますが粘り強く活動してみることをおススメします。
前職が旅行会社の営業マンのから日商簿記3級の資格だけでハローワークで紹介された税理士事務所に就職して私の経理マンとして人生が始まりました。
その事務所の募集要件は「自動車普通免許所持」だけでした。
その税理士事務所での仕事は修行の様な日々でしたが、多くのことを学ぶことができました。
そんな私の経験から最後の戦略は心構えをお伝えしたいと思います。
【戦略5】未経験者が経理への転職に挑む際の心構え
未経験の職種に転職する場合には年収ダウンなども覚悟しなければなりません。
私は「経理の勉強させてもらいながらお金がもらえる」くらいの気持ちで前述の税理士事務所に就職しました。
確かに自動車免許と簿記3級だけで仕事にありつけたわけではありますが、年収等の条件は決して良かったわけではありません。
私は税理士を目指してキャリアチェンジしようとしていたので年収などは二の次だったため、募集条件はゆるくても給与等の条件が厳しい案件も対象にした結果だと思っています。
この様に未経験の方は「転職で一気に年収アップ!」と言ったキャリアチェンジは考えにくいと思います。
ですから預貯金の残高や生活費等を考慮してその後の生活が成り立つのかを考えた上で給与等の条件の最低ライン等をきちんと計算しておく必要があります。
これが出来ていないと合格通知をもらった会社が提示する条件が思ったより低かった場合に判断に迷いが生じます。
結果として応諾できなかったり、就職できても後悔の念が沸いてきたりします。
ダウンした年収を何年かけて盛り返すか、そんなこともキャリアプランの中に盛り込んでおくと年収ダウンの案件にも思い切って飛び込むことが可能です。
もう一つ、未経験での転職チャレンジャーが考えておくと良いのは転職期間です。
資格取得とか明確な目的があって期間が長引くのはある程度頑張りも効きますが、実際に応募を始めて何度も不合格が続いて思った以上に転職期間が長引いてしまった時が要注意です。
経理の部署なら何でも良いとか、当初の予定とは異なり転職そのものが目的化して早く終わりにしたい一心で転職エージェントが勧める案件に安易にのってしまうことにもなり兼ねません。
もちろんまずは未経験者は経理の職に就かないと何も始まりませんから、思うように進まない時には微修正も必要です。
でもキチンと最初に立てたキャリアプランと照らしての方向転換が必要かと思います。
最後にもう一度戦略をまとめてお伝えします。
【戦略2】目標とする姿・将来像
【戦略3】現状のスキルで転職するか、スキルアップをしてから転職するか?
【戦略4】正社員・契約社員・派遣社員別に応募を考える
【戦略5】未経験者が経理への転職に挑む際の心構え
是非、経理への転職が成功するように頑張っていきましょう!
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