簿記3級からの経理の仕事「全社展開」

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経理の仕事の「全社展開」とはどういうことでしょうか?
経理は全社の取引を会計データとして記録していきます。
取引実態の報告、裏付け資料の提出は社員の協力なくして成り立ちません。
協力をしてもらうのにこんなことをしています。

以下の記事で前段で経理の仕事を見てきました。

これらを実現するために全社からの取引データの収集が必要です。
経理側としては効率良く、法律の要請に必要なデータや資料を漏れなく回収したいですが、全社的な観点から「回収される側」にとって事業に支障が無いように効率的に事務処理が出来るような配慮も必要です。

本記事では経理部門が行っている全社への経理への情報伝達してもらうための業務についてお伝えします。

1. 処理マニュアルの作成

経理部門への日常的な必要書類の提出のパターンは「取引の内容について自己申告」をして、「必要な証憑類を添付する」といったところです。
取引が仕入や経費の支出なら「計上依頼書」とか「支払依頼書」と言った書類に記入して請求書や稟議書、見積書等を添付してもらいます。
これらの書類の提出に代えて「経費精算システム」等を利用して電子データでの申請、書類の添付もペーパーレスといった会社もあるかもしれません。

まずはこれらの基本的な仕組みを一般社員の方にも理解してもらって、月次決算の締め切りに間に合うよう必要な手続きをしてもらうことになります。
この時に処理マニュアルやルールを作成し公開していくことになります。

基本となるルールは規則類に落とし込むことなります。

しかしながら、規則だけでは具体的な作業レベルでは伝わりませんので、処理マニュアルが重要な役割を果たします。
また各種提出書類のフォーマットを用意して誰でも最新版が入手出来るようにしておきます。

主なマニュアル類は以下の通りです。

  • 提出物の提出期限
  • 利用システムの操作マニュアル
  • 提出書類のフォーマットと記入例
  • 添付書類の列挙

2. 閲覧性の向上

一般社員が利用フォーマットや操作マニュアルを探さなければ見つからないと会社全体としては大きな損失です。
月に5分社員がこれらを探すのに時間が取られたとします。
社員が1,000人の会社なら5,000分、合計80時間以上の時間の損失です。
仮に時給5,000円として計算しても月間40万円の費用の損失とも言えます。

時計の背景にPC

ですから、これらを探すことなるいつでも入手可能な状態にすることはとても大切です。
ある程度の規模の会社なら社内イントラネットを利用している会社が多いと思います。
「見出し語」や「見出しの掲載の仕方」などはそれを探す側の行動パターンを良く研究してベストな状態にしたいものです。

ダウンロードも簡単にできることも重要ですし、常に最新版にアップデートされる仕組みを構築しておかなければなりません。
社内イントラネットにスケジューラを共有しているのであれば締め切り等を効果的に組み込むなどして提出期限を守ってもらう工夫もしておきます。

本棚からファイルを取り出す手

3. サポートと指導

各種マニュアルの閲覧性の向上をしたとしてもそれだけですべての経理事務に関して社員の疑問は解消しません。
マニュアルの記載に読み手のリテラシーを要求するものがあるかもしれませんし、網羅できないレアケースも発生します。
その時には経理部門への問い合わせを受けて対処することになります。
その時に「どんな方法でアクセスして欲しいのか?」を明確に示しておく必要があります。

受け付け方法にもいろいろあります。

  • 担当別でメールで受け付ける
  • メーリングリスト宛てにする
  • 電話で受け付ける
  • teamsやSkypeのチャット形式
  • イントラネットの受付フォーム

テーブルでタブレットを持ちながら談笑する若手社員男女

また、一次対応では解決しない場合には対面やチャット会議形式にするなどの方法もあります。
資料を持ち寄ってより具体的な話をすなければならない場合もあります。

一般社員は会計ルールや税法等に詳しい訳ではありません。
取引を特定するためには経理部門担当者が能動的に必要な情報を引き出す努力をしなければ埋もれたままになってしまう情報もあるかもしれません。
ですから経理マンには優秀なインタビュアーにならなければなりません。

テーブルでインタビューする女性

これら一般的な社員へのサポートをする一方で、「指導的な立場」も持たなければなりません。
不正に目を光らせるような統制面だけでなく、ルーズな事務処理ばかりする社員に対してはサポートをしつつも必要に応じて「指導」することもあります。

4. 全社展開するときに必要なマインド

経理の様な事務処理をメインに行う担当者は全社の社員に対して「サービス提供」をしている、というマインドが大切だと思います。
稼ぎ手が事業部門で食べさせてもらっているのが管理部門といった卑屈な精神は無用ですが、事業部門が顧客により良いサービスを提供するために見えないところで支えている、というサービス精神と誇りは大切だと思います。
経理マンが経理に詳しいのは当たり前です。
一般社員が経理に詳しくないからといって、出来ないことを高圧的に責めるのではなく「どうしたら分かりやすくなるのか?」を追求する気持ちを強く持つことは会社にとって有益だと思います。
逆にどんなにフレンドリーに社内で振舞っていても「ダメなものはダメ」と言える毅然とした面も併せ持つことも必要です。

根底には「サービス精神」を、日常では「探求心を忘れず」、多面的な視野で業務を見つめ直すといったマインドで向き合っていけば会社に目に見えない利益をもたらす経理マンになれるのではないでしょうか?

数人でPCを持ち込み会議をする若手社員

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