簿記3級からの経理の仕事「出納業務」

電卓と出金伝票
  • 「出納業務」にはどんな仕事があるのでしょうか?
  • 具体的にはどの様なことをしているのでしょうか?
  • 「出納業務」と現金や預金のは支払いや入金の処理をする仕事です。
    直接、現金や預金の取引する作業に携わるため信頼された人が作業に従事できる仕事と言えます。
  • 銀行に行って預金の出し入れをしたり、ネットバンキングやファームバンキングで預金の支払いをします。
    また、自社口座に入金された売掛金等を特定して仕訳を起票したり手形や小切手の受け入れ処理をしたり領収書の発行をしたりします。

1. 支払い業務

支払い業務は主に現金による支払いと預金口座からの支払い業務となります。
その他には小切手や手形の支払いのため、こららの発行業務もあります。

現金による支払い

現金はその動きや残高の把握がしにくい側面があり、経理業務としては手間がかかる非効率な取引となりやすいです。
従って「キャッシュレス」を進めている企業が多いですが、どうしても避けられず対応するケースも時々あるかもしれません。

小口現金の仕組みを使っている企業では常に残高を維持するために銀行やATMから預金を引き出すオペレーションが発生します。

出金伝票等により受け付けた支払者に現金を払い出ししてその受領の証書を預かり小口現金出納帳に記載して日次で現金残高と帳簿残高を照合します。
現金を扱うのでワンオペでは心配、ということですと作業者と確認者を配置して日々これらの作業を繰り返すことになります。

少額の買い物は従業員の立て替え払いにして、出張旅費の仮払いの払い出しや精算は預金口座でやり取りするなどして現金取り扱いを極限まで無くして臨時的な取り扱いだけがわずかに残る、という企業がほとんどではないかと思います。

最近はキャッシュレス決済手段が推進され対面での支払いが避けられないケースでも現金を利用する機会はどんどん減っていくでしょう。
いずれ現金の処理自体が経理業務から完全になくなることになるでしょう。

預金払い戻し伝票

預金による支払い

預金支払いはネットバンキングやファームバンキングで行い、実際に銀行に行ったりATMでの作業が発生することはありません。

インターネットバンキングとファームバンキングの違い
・インターネットバンキング(IB)は個人でも利用している方もいるかと思いますが、インターネット経由で振込指示をしたり必要データを閲覧する仕組みです。
・企業では専用端末から専用線(電話回線等)を経由して銀行サーバーにアクセスしてこの処理を行うファームバンキング(FB)を利用していることが多いです。
・FBでは所定のフォーマットをもとに大量の振込指示を出すことが出来、インターネット上でのセキュリティリスクを回避することが出来ます。
・同じ会社でもIBとFBを併用していることが多いと思います。

税金納付等について納付書を銀行窓口に持ち込んで支払いする会社もありますが、Pay-easy(ペイジー)を利用すればこちらもPCを使って会社に居ながらにして支払うことも可能です。

通常業務としては、前月の各部門から提出された各種「支払い依頼」に基づいて、「買掛金勘定」「未払金勘定」に計上されている支払いに対して支払い期限到来に合わせて定期的に支払います。

上記の様な支払い対象となる「債務」の金額を自動連携してIBやFBのデータとして流し込み支払い予約をして振込作業を完了します。
実際の支払日に口座名称や口座番号等のデータ誤り等で振込出来なった場合には銀行からの連絡により対処したりもします。

支払は支払先企業や従業員に大きく影響するため単純に「報告業務」に比べてミスが大きな影響に直結しやすいので、必ずチェック者を置いて2名以上の体制で作業します。
IB、FBでは一人で支払いが出来てしまうと内部統制上も問題となりますので、申請権限のみの申請者の申請と承認権限のみの承認者の承認の両方がないと支払い出来ないとか、扱える取引や金額の上限を人別に設定するようにしています。

前月計上した債務の支払い以外に当月発生した取引に対する支払いや前月までの計上漏れの支払い等も発生します。
これらも個別対応する形でネットバンキング等に支払いデータを入力・承認することによって支払いを実行します。

IB、FBでの支払い処理が完了したら、そのデータに基づいて会計ソフトに支払いデータを仕訳データとして入力します。
自動連携する場合もありますし手動で入力することもあるかと思います。

小切手・手形による支払い

小切手や手形の発行は経理部門が発行して支払いを実行する者に発行した小切手・手形を託して支払いを代行してもらったり郵送したりします。

これらは台帳管理したり発行控えを保存して後で「その履歴」が追えるようにします。

また手渡しを依頼する場合には必要に応じて自社宛ての領収書ひな形を準備して小切手・手形の引渡しと引き換えに領収書が貰えるようにします。

引き落とし口座の残高の管理も行います。

現預金の取り扱いに関しては効率だけでなく間違いが起きにくい仕組みも意識することが重要な要素となります。
経理責任者は支払い業務をどの様な体制で行うかを考えるのも仕事の一つと言えます。

小切手とボールペン

2. 入金処理

請求書の発行

売上が確定したら取引先に請求書の発行をすることにより支払いの請求を行います。

販売管理の一環として事業部門側で行う会社もあれば経理部門が一括して請求書作成・発行・取引先への送付を行う会社もあります。
販売管理のシステムで連携して自動発行される会社もあれば売上データに基づいて販売管理ソフトを使用したりエクセルなどを利用して手動で入力で発行する会社もあります。
いずれのケースであっても売上計上処理を請求データを裏付け資料の一つとして経理部門はチェックします。

これらの作業により取引先別の売掛金が確定して翌月以降に各取引先別に定められた約定で入金されることになります。

なお、請求書が必要な取引は売上とは限りませんので、必要な部門からのデータに基づいて未収入金等も売上に準ずる方法で債権を確定させて帳簿残高に反映させます。

現金による入金

入金伝票とともに現金を受け取り、金額の誤りがないかを確認して問題なければ支払い元に領収書を発行します。
しかしながら対外的な受領者が経理部門ではないようなケースでは事前に連絡をもらい領収書を事前作成して受領者に渡しておきます。
領収書は控えを保存したり作成台帳を作成して、いつ、どこに、いくらの領収書を発行したかを後で確認できるようにしておきます。
現金は現物との不一致が発生した場合に時や場所を変えてしまうと確認が出来ないことが多いです。
どんなに忙しくても現金の数をその場で確認することがとても大切となります。

現金出納帳に記入して受け取った現金は金庫に保管したり銀行・ATMで入金処理をします。

ATMの機械

預金による入金

預金への入金は相手からの受け身の処理なので、膨大な入金データが「どの取引に関する入金なのか?」を特定することが大きな業務となります。

主な入金は売上高となりますので売掛金のデータと入金を紐づけていきます。

いわゆる「入金消込」の作業です。

大量の取引先を抱える業態で月末に大量の入金がある会社では入金処理を財務締め日に間に合わせるのは厳しい仕事です。

私はこれが自動化されている企業で働いたことがないので「入金消込」は一種の「職人芸」だと思っています。
入金情報から効率よく「当たりをつけて」不明な入金は手際よく突き止めていくのは「マニュアル化しにくい」業務なのではないかと思っています。

入金がすべて確定できたら仕訳の形で会計ソフトに入力します。
消込作業専用のソフトを利用して消込データを自動連携する会社もあれば、手動で仕訳を入力していく会社もあると思います。

小切手・手形による入金

小切手や手形による入金は現金と同様に領収書を事前に準備して受領者に渡しておいたり経理が受領時に領収書を発行して渡します。

受け取った現物は台帳記入やコピーを保管するなどして管理ののち、金庫に保管した上で後日銀行に持ち込み現金化の手続きを行います。

3. 現預金の処理は経理の基幹業務

現金、預金の取り扱いは間違いがあってはならない経理部門の基幹業務です。
もちろん他の業務も間違いがあってはなりませんが、特に細心の注意を払って取り組む必要があります。

日々のチェック等も基本的に100回確認したら100回合っているのが当たり前の業務です。
だからと言って「このチェックって無駄じゃない?」といった発想で怠ると事故の元になります。

繰り返しの業務で無駄とも思えるチェックを普通にできる人でないと務まらない領域かもしれません。
経理全般がそうですが、出納業務は特にその傾向が強いのではないかと思います。

私は経理をやっていて、「会社のお金を使う」ということに対して意識が低い人が多いという印象を持っています。
自分のお金なら絶対やらないようなことも放置すれば会社では起きてしまうので経理部門はその歯止めになる必要性を感じることが多いです。

またお金にまつわる不正に触れる機会もありました。

経理の方は会社の大切な資産を任されているという意識は常に持っておきたいですね。

胸に手を当てるサラリーマンの男女

コメント

タイトルとURLをコピーしました