省力化や効率化のために欠かせないツールである一方で、立ち上げ時やメンテナンス、トラブル対応等経理部門でもシステム対応の業務が存在します。
システムを有効利用して味方につけることはルーチンワークの多い経理業務では大変重要な要素です。
IT化の推進、DXなどが叫ばれていますが、経理業務にとって重要なインフラであり未来を左右するものであると言えます。
以下の記事で経理業務を網羅的にお伝えしました。
最後はインフラ整備、システムについてお伝えします。
1. システム部門との連携
会社によってシステム部門といった専門部署があり、システムに関する業務分担も会社によって異なります。
特に規模の大きい会社では欠かせないERP(Enterprise Resources Planning:基幹系情報システム)が導入されている場合のほとんどはメイン担当はシステム部門に置かれていると言って良いでしょう。
ネットワーク基盤とそれに伴うセキュリティ等ITの専門スキルを要する領域で経理マンにはシステム全体を管理するのは難しいと言えます。
しかしながら基幹システムの基盤以外のアプリケーションの中心的存在は経理・会計業務を担う部分であることから経理部門はその構築にかなり意見を反映する必要があります。
企業の全取引を最終的に何らかの形で会計システムへ取り込む必要があり基幹システムの各アプリケーションからデータ連携を受けるのが会計システムというパターンが多いからです。
この様なことから経理部門は基幹システムの導入から日常的なメンテナンスに至るまでシステム部門との連携が欠かせないと言えます。
仮に企業規模がERPを入れるほど大きくなくシステムに特化した部門が無い場合には、更に会計システム関連の業務を経理部門が担う領域は広くなっていくとも言えます。
経理部門内に会計とシステムの橋渡しを出来る程度には知識がある担当者を配置しなければならないでしょう。
システムの知識や経験がある方は経理部門のこの様なポジションを狙っていくという選択もあるかもしれません。
2. システムの導入
基幹システムから関連システムまで大小様々な経理系のシステムがあります。
どんなものも経理部門が関わることになります。
いくら経理に詳しいシステム担当者がいても企業ごとに異なる経理系の業務フローを完全に把握し、システム構築時の業務への影響度を判定できるのは経理部門の人間になります。
大きなものでしたら様々な部門の代表者が集まる様なプロジェクトチームを作ってシステム導入をシステムベンダーと調整しながら構築していきます。
そして、経理処理に直結する部分のシステム要件定義等でもかなりの部分を経理部門の意見が反映されることになります。
従って業務を網羅的に理解している担当者がプロジェクトメンバーに抜擢される必要があります。
また経理部門でほぼ完結するようなシステム、例えば減価償却システム等はベンダーとのやり取りもほぼ経理部門単独もしくは主導で進めていくことになります。
従ってシステム導入時の流れや契約条項の読み込み等についても慣れている担当者がメンバーにいると腰が引けずに経理業務の効率化にITの力を積極的に取り入れることができます。
逆にシステムに関わる領域に苦手なメンバーしかいない経理部門を抱える会社はIT化の波に出遅れて業務効率化を人力に頼ることになってしまいがちです。
要件定義に基づくカスタマイズやシステム稼働開始前のベンダー側のセッティングが済んだらシステム部門と分担してユーザー側がすべき各種マスタの登録や初期設定等を行います。
また、経理関連部分のシステムが正しく稼働するかのユーザー側のテストは主に経理部門が行うことになります。
必要に応じてテストシナリオを十分に吟味して作成することも求められます。
- ERP
- 会計ソフト
- BIツール
- 給与計算ソフト
- 資産管理ソフト
- 税金計算ソフト
- 原価計算ソフト
- 連結決算ソフト
3. システムのリプレース
システムのリプレースとは老朽化したシステムの入れ替えやOS、その他ソフトウエアの更新等することです。
導入時ほど大規模ではありませんが、場合によっては大規模な予算を使って年単位の時間を掛けて行うことになります。
現在のシステムとの並行運用等、業務をどうやって途切れずに回していくか、といった計画の見通しを立てることも大切な役割となります。
自社の決算期等繁忙時期を避けた最適なスケジュールには経理部門からの意見は重要です。
従前の未解決な課題が新しいシステムで解決できないか、等リプレースを意義あるものにできるかは普段からの業務改善への取り組み方も反映されると言えるでしょう。
リプレースも導入時と同様、受け入れテストを行うことになります。
4. システム運用
導入やリプレースが完了したら、日常的な運用はユーザーとして経理部門が管理していくことも多いです。
データのバックアップ、定期的なサーバーメンテナンス、日々の運用ログの管理は規模が大きいシステムならシステム部門の仕事となりますが、独立した会計システムを利用している場合などは経理部門で全て担当するケースもあります。
また各種マスタも変更の都度行うことになります。
法律の改正、期末期初の境目で行う部門管理のマスタ等のメンテナンスも経理部門の仕事となります。
毎年の様に組織変更を行う様な会社では期末で税務申告、開示業務等で超繁忙時期にこれらのシステム管理も重なり多忙を極めることとなります。
5. トラブル対応
システムが突然ダウンする様な大きなダメージから、最末端ユーザーである一般社員からのトラブル相談窓口等も経理部門の仕事であることが多いです。
システム専用のヘルプデスクを用意している会社であっても経理処理に関わることですと一次対応を経理部門がしなくてはならないケースも多いです。
またシステムが原因なのか経理処理上の問題なのかが不明瞭なところからスタートするトラブルや質問などの場合にはその発生原因の切り分けをすることもあります。
トラブル対応は全てをパターン化してマニュアルに落とし込める様な領域ではありませんから、臨機応変にして迅速な対応力が求められる業務と言えるでしょう。
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